矢代秋雄「ピアノ協奏曲」のまとめをしたいと思います。
そもそも私は現代音楽が好きではありません。正確に言うと、無調音楽や12音技法、セリー音楽などです。もっと端的に言うと、口ずさめない音楽が苦手です。心地よくないからです。
矢代秋雄の「ピアノ協奏曲」は和音を含めて12音技法で書かれていますが、とてもメロディアスで口ずさめます。だから大好きなのです。
第1楽章:アレグロ・アニマート
ミとファが変拍子で伸縮する主題から心惹かれます。第1主題の終わりでカデンツァ風の叩きつけるような音型主題がまた良いのです。
第2楽章:アダージョ・ミステリオーソ
まず、ピアノ·ソロで中央ハ音の7音のパターン連打がリズム·オスティナートとして43回繰り返されます。それがその他の楽器を巡りながら、再びピアノ·ソロで43回繰り返されて楽章を終えます。
この執拗な繰り返しは、矢代秋雄さんが幼い頃、高熱を出したときに耳に響いてきたものを表したのだそうです。
ただ、矢代秋雄さんがお亡くなりになって半年後から1年後くらいのときに、NHKでこの曲を放送されたことがありました。そのときの演奏者は初演者の中村紘子さんでした。彼女はこの第2楽章のオスティナートのことを「ご自身の死を予感したレクイエムのように思える」と言っていたことが、とても印象的でした。それ以降、この楽章はレクイエムとして冥福を祈りながら聴いています。
第3楽章:アレグローーアンダンテーーヴィヴァーチェ・モルト・カプリチオーソ
冒頭の力強いオーケストラのトゥッティで始まるロンド形式の楽章です。最後に第2楽章の7音のパターンと第1楽章の主題を回想しながら締めくくられます。循環する主題の取り上げ方も素晴らしいです。
とにかく、矢代秋雄の代表作というだけでなく、日本人作曲家の代表作であり、ピアノ協奏曲を代表する作品だと思います。
2019年の6月に小菅優さんがピアノを弾くコンサートに行きました。それが、矢代秋雄のピアノ協奏曲を初めて生で聴く機会でした。暗譜で見事に弾きこなしていました!作品を自分の中で完全に消化した見事な演奏に感動しました!
ただ、この曲のCDはほとんどが廃盤なのが残念でなりません。ベスト盤は1977年の中村紘子/若杉弘・東京都交響楽団盤ですが、やはり廃盤です。小菅優さん盤を待望致します。